辰野町 ソルガム栽培の課題解決に向けて

10月22日、辰野町の圃場を見学に行った際、

辰野町農業委員会事務局中澤さんから、

町内で取り組んでいるソルガム栽培について課題があるため、

信州大学の渡邉先生に指導をいただけないかとの相談を受けました。

辰野町では、遊休農地の有効活用を目的にソルガム栽培に取り組んでおり、

今年で5年目を迎えています。

しかし、栽培を続ける中で、年々収量が減少しているほか、

草丈や出穂・成熟時期、実の付き方などにもばらつきが見られるようになり、

安定した栽培に向けた改善が課題となっているとのことです。

そこで今回、信州大学の渡邉准教授の研究室に伺い、

栽培上の課題や今後の改善策について、

お話をしていただけることとなりました。

研究室で意見交換

収量低下の原因は? 種子の管理が重要なポイント

自家採種を繰り返すことで、品種本来の特性が変化し、

生育や収量にばらつきが生じている可能性がある。

特に、F1品種については、採種した種子を翌年以降に使用すると、

親と同じ特性が維持されないため、毎年新しい種子を購入することが基本となる。

自家採種が可能な品種についても、生育や実の付き方が良い株を選び、

袋掛けなどによって交雑を防ぐことが大切だ。

まずは品種の特性を確認し、品質の安定した種子を確保することが

重要であると教えていただきました。

緑肥を活用した土づくりと肥料管理

土づくりについては、化学肥料だけに頼るのではなく、

緑肥を活用して土壌環境を改善する方法を教えていただきました。

具体的には、ライ麦やヘアリーベッチ、ソルガムなどの活用です。

ライ麦は生育が進みすぎて茎が硬くなる前の4月初め頃、

ソルガムは草丈が1.5メートル程度になる前後を目安にすき込むとよいとのことです。

緑肥を上手に取り入れることで、

化学肥料を従来より20~30%程度減らせる可能性もあるそうです。

ただし、圃場の状態や作物の生育状況を確認しながら、

無理のない範囲で調整することが大切とのことです。

育苗・定植から収穫まで、作業の省力化を考える

現在の栽培では、育苗や定植、収穫・乾燥などに多くの手作業が必要となっています。

今後、栽培面積を拡大していくためには、作業の省力化が欠かせない。

育苗については発芽や生育のばらつきを抑える工夫が必要であり、

直播栽培も選択肢の一つとして紹介されました。

ただし、直播の場合は播種後の雑草管理が重要になる。

また、収穫については、現在の手作業に代わる方法として

汎用コンバインの活用も考えられる。

実際にソルガムの収穫に使用している事例や、

対応できる機械について調査していくことになりました。

収穫後の乾燥についても、カビの発生を防ぐため、

水分状態を確認しながら適切に管理する必要があるとのこと。

サルなどによる鳥獣害への対策も課題

圃場周辺では、サルなどによる鳥獣害も発生しており、

ソルガムへの食害も確認されている。

対策の一つとして、センサーを活用したくくり罠の仕組みを

紹介していただきました。(伊那市で実施済)

罠が作動すると遠隔で通知を受け取ることができ、

現地へ頻繁に確認に行く負担を軽減できる可能性がある。

町内での導入に向けて、設置場所や電源、通信環境などを確認し、

来年度の予算への計上も含めて検討していくことになりました。

ソルガムを栽培するだけでなく、食べて地域の特産品に

今回の意見交換では、栽培技術だけでなく、

収穫したソルガムの食用利用についても話題になりました。

辰野町では、学校給食でソルガム粉を使った「岩石揚げ」を提供しているそうです。

唐揚げの衣にソルガム粉を使用し、色が濃くなる特徴を生かしたメニューです。

そのほかにも、甘酒やハンバーグ、和菓子、発酵食品、菓子類など、

さまざまな活用方法が考えられます。

ソルガムの持つ食物繊維や、もちもちとした食感などの特徴を生かし、

調理実習やレシピの紹介を通じて、

地域の皆さんに食べ方を広めていくことも期待されます。

遊休農地の有効活用という目的に加え、

食用利用や加工品づくりへとつなげていくことで、

地域の新たな資源としての可能性が広がります。

安定した栽培と地域資源としての定着を目指して

今回の意見交換では、種子の確保と適切な管理をはじめ、

緑肥による土づくり、育苗・定植・収穫作業の省力化、

鳥獣害対策など、幅広い課題について専門的な助言をいただくことができました。

今後は、まず品種の特性を確認して安定した種子を確保するとともに、

緑肥の導入や機械化の可能性についても検討していくことが大切。

また、学校給食や加工品などへの食用利用を広げることで、

ソルガムを単なる遊休農地対策にとどめず、

地域の魅力ある資源として育てていくことが期待されます。

今回のご指導を今後の取り組みに生かし、

地域に合った持続可能なソルガム栽培につなげていきたいと思います。

辰野町農業委員の皆さん(信州大学構内で)

人の縁とは、不思議なもの。

この日は、今年収穫された「信濃ひめ」の種を引取りに

信州大学へお見えになった、

信州ソルガム普及協会理事長の 早川 航紀(はやかわ こうき)さんに

お会いすることができました。

早川さんは、南信地域におけるソルガム栽培のさらなる拡大に、

強い期待を寄せられていました。

翌日は、渡邉先生からソルガムのレシピを渡された、

レシピ作成者の濵渦さんとご主人、信州大学の濵渦教授と

お話する機会に恵まれました。

坂下公会堂で開催された、

ALL KAMIINA GUN ENGLISH FESTIVAL の会場です。

レシピ開発者の第一人者である奥さまには、

11月中旬からスタートする「信濃ひめ」食文化づくりプロジェクトに

お力沿いいただけるよう、強くお願いいたしました。

「信濃ひめ」を通じた新しい食文化づくりの基盤が、着々と整いつつあります。

11月中旬からの本格始動に向けて、地域の皆様にも親しまれ、

美味しく健康的な食卓をお届けできるよう、

関係者の皆様と力を合わせて取り組んでまいります。

今後の展開にぜひご期待ください。

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